マーケティング

マーケター向け #Twitterデータのビジネス活用最前線 Sprinklrさん編

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日曜日, 2017年10月15日日曜日

#Twitterデータのビジネス活用最前線

第1回目:Twitterデータビジネスについて

第2回:NTTデータさん

第3回:Sprinklr Japanさん

第4回以降は別途案内

マーケティングの分野でも、ディープラーニングなど人工知能(AI)技術を利用したデータ活用の取り組みが本格化し、企業の皆さんは、データを使うことでビジネスの成果をこれまで以上に上げられるようになりました。 #Twitterデータのビジネス活用最前線 では、Twitterデータの最新の分析事例や、TwitterデータをAI技術と組み合わせた新しい技術サービスなど、ビジネス成果を創出するメカニズムをシリーズでお届けします。第3回は、TwitterのオフィシャルデータパートナーであるSprinklrさんにお話を伺いました。

リーダーシップインタビュー

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Q1. 御社に求められているTwitterデータのビジネス活用、「次の施策」につながる動きについてお教えください。

お客様は基本的にTwitter上でソーシャルリスニングを求められています。昨今はそれだけでなく、横断型統合プラットフォームとしての利活用に関心があるようです。あくまでソーシャルリスニングはそのきっかけとしての位置づけになります。横断型統合プラットフォームの方法論は3つあると考えています。まず顧客の声を直接聞く、次にその顧客とエンゲージメントする、最後に広告などを使って最適な形で顧客にリーチすることと考えています。

例えば、Sprinklr導入企業の皆さまのSNS上の活動に五感を与え、神経をつないで、手足の動きをもってして顧客対応するイメージですね。顧客獲得だけに注力するばかりではマーケティングの本質を見逃してしまいますね。当社はソーシャルリスニングを起点に次のアクションにどのようにつなげることができるか、その仕組みをご提案しています。ソーシャルリスニング分析から得られた知見を、具体的なマーケティング施策に展開するなどはまだハードルが高いようです。

実は、当社が提供するのは、顧客体験マネジメント(CXM)といわれる、高度な顧客マネジメント(CRM)の仕組みを、よりシームレスに実現するためのマーケティングソリューションです。近年、SNSは顧客体験マネジメントの源泉である顧客と企業の接点(タッチポイント)として注目されています。ソーシャルメディアがカスタマーエクスペリエンス文脈で語られる現在、競争の源泉は顧客体験マネジメント(CXM)でほぼ間違いない、といわれています。タッチポイントを可視化して、きちんとマネジメントすることが求められるのではないでしょうか。

例えば日本ロレアル様は、サロンブランド購入のカスタマージャーニーにおいて、美容師をブランド認知における重要なタッチポイントとして位置づけられています。デジタル広告において美容師のみをターゲットするような広告メニューはなく、SNS上で影響力のある美容師のアカウントを把握することも難しい状況でした。

Sprinklrを活用することで、デジタル上の美容師のSNSアカウントを公開プロフィールから自動的に把握、リストを自動生成し、対象ユーザーのSNS上での行動やコンテンツの分析ができるようになりました。タッチポイントの可視化をしたことで、ブランドインフルエンサーのマーケティング活動への参加の促進や、SNS上で影響力のある美容師をターゲットにした広告配信もできるようになりました。Sprinklrではこれら一連の活動をひとつのプラットフォームでサポートしており、レポーティングも自動的に生成されるため、企業は高スピードでPDCAサイクルを回してくことができます。

顧客体験マネジメント(CXM)を展開するにあたり、店舗管理、マーケティング、カスタマーサポート、人事、広報など企業内の部門をタッチポイントと据え、顧客体験をあらゆる角度からビジネスチャンスに変えることが重要です。場合によっては工場などの製造管理でもタッチポイントになりえるのですね。例えば、米国のとある製造工場では、従業員向け控室にソーシャルデータをみせるディスプレイを設置しました。製造している製品の利用者が発している意見やリスクを可視化してみると、製品の利用者と工場で働く人の接点が生まれ、工場で働く人々の製造品質への意識が変わったそうです。ソーシャルデータはいろんな場面で顧客ファーストを体感できる環境づくりに一役買える可能性を持っています。

顧客マネジメント(CXM)の中心となるのはソーシャル(人の会話)とソーシャルデータ(興味関心)と考えます。Sprinklrというひとつのプラットフォームで企業がマーケティング、広告、リサーチ、コマース、カスタマーケアをTwitter、FacebookやLINEをはじめとした24以上のチャネルで展開することを可能にしています。煩雑なワークフローに悩むデジタルマーケティングの現場向けにはすべての機能が単純化されてひとつのシステムに統合されている点はとても重要です。ソーシャルリスニングからエンゲージメント、広告でのリーチにいたるまで共通のオーディエンスデータで管理できるなど、当社は今後も顧客マネジメント(CXM)の強化に注力しています。

Q2. お客様各社がTwitterデータを活用して実現していることについて教えてください。

デジタルマーケティングへの取り組み方に工夫がみられます。顧客をさらに理解したいお客様は、マーケティング部門からだけではなく、商品開発などの局面で複数チームからの混合チームを組む傾向があります。競合の大量のクエリを把握し解析する際、一つのチームではなく複数のチームで対応する方が多様な視点から有益な情報を発見できるからです。マーケティング部門とケア部門が繋がることは会社の組織基盤を劇的に変える可能性を秘めています。いい換えれば会社にソーシャル戦略を浸透させる、ということは会社の部門間ギャップ(いわゆるサイロ化現象)を自然に解決していくことができる、ともいえます。

その理由として、顧客中心のコミュニケーションすることは、時としてマーケティング、宣伝部門領域であったり、ケア部門、深いインサイトを得た場合には商品企画、サービス企画とそれぞれ顧客タッチポイントに絡むメンバーに展開せざるを得なくからです。当社が感激した事例の一つを挙げますと、サントリーグループ様の事例があります。当初デジタル戦略チームの方々にお使いいただいていたSprinklrプラットフォームをまったく別の部門(別会社)であるお客様リレーション部の方々にもご利用いただくことになった結果、当初別のフロアにいた2つのグループが隣同士の島に引っ越ししたのです。それを聞いた時にとても感動感激したことを覚えています。その後、その2グループ並びに宣伝部の中の顧客接点となるデジタル戦略に関わるチームが、別会社の同一部門としてスピンアウトしたことは我々の思想に通ずるものがあります。

Twitterの広告キャンペーンを実施されるお客様にとって、特定キーワードをツイートした人を広告配信のターゲットにすることは当たり前です。先進的な広告主や代理店の皆さんはDMPとソーシャルデータを連携し、より全方位に顧客を理解した精度の高いターゲティングを実施しています。 最近の興味関心に合わせ広告配信をすることは重要です、昔のデータは使えない場合が往々にしてありますから。3年経てばライフスタイルと興味関心が変わる人がほとんどですよね。

数年前のアカウント開設時に旅行が好きと登録した人はその後、結婚して旅行どころではなく、一方で子育ての情報に敏感であることはよくある興味の変遷です。アプローチしたい層を会話ベース、いわゆるソフトセグメンテーションでグループ化し、さらにはその層に対する理解を深めるためのエンゲージメントを行っていく、そしてオーガニックリーチと広告の組み合わせで自由自在にアプローチできる仕組みを実現する。このような顧客視点のコミュニケーションがビジネスの成功の要であり、その実現にあたっては、リスニング、エンゲージメントそしてリーチ(広告)の三位一体が求められています。

Twitterデータを活用して効果が出やすい商品や業種はあります。裏を返せば、合う合わないというところまでコンサルティングしていくことが大事ということでしょう。また、顧客サポートをリアルタイムで実施するアクティブサポートは日本でも盛り上がると思います。私事ですが、以前タッチパネルの不具合についてツイートしたらそのメーカーから瞬時に連絡が入りました。実はこれはもしかしたらメーカーが私のツイートをみつけて助けてくれるのでは?という期待を込めたツイートだったので、その期待値を超える素早さと対応でしてくれたことで、まさにWOW!モーメントを実感した瞬間でした。このような顧客体験を経ると顧客のロイヤリティが格段にあがります。それだけでなく、ボジティブな体験は顧客が拡散したくなるキラーコンテンツそのものですし、この領域はこれからさらに伸びてくると確信しています。

その他領域では、User Generated Contents(UGC)マーケティングがあります。 ソーシャルリスニングで商品などのハッシュタグ、画像動画などで検索し、当該の動画や写真を発見したら、すぐさま利用者からコンテンツの使用許諾を取り、コンテンツをブランドサイトに掲載する、という一連のフローをSprinklrで行えます。社名はいえませんが、某メーカーは社内の会議室をコマンドセンターと称して3×3の大画面でソーシャル上で自社の商品やインスピレーションを感じられるコンテンツを発見しては、地道に利用者にアプローチし、許諾を得たコンテンツをオウンドメディアに掲載したりしています。

これは同時に通常のファンを、より関係性の濃い特別感のあるロイヤルカスタマーに変貌させることにも一役買っています。そのプロセスの過程で困っているお客様を発見したら、すぐさまカスタマーケア部門にSprinklrプラットフォーム上でアサインします。従来のプロセスであった「ツイート画面をキャプチャしてメールに添付してケア部門に展開して、その後どうなったか確認しようにも確認できない」という状態から脱却できます。

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さらにはCRMを始めとした既存システムとSNS上の会話の履歴を連携し、複数チャネルを横断してカスタマイズされたシームレスなカスタマー・エクスペリエンスを提供可能です。企業で保有しているソーシャルIDに紐付いたNet Promoter Score(NPS)やデモグラフィック情報をSprinklrに連携するほか、部署を横断したデータ統合により、深いカスタマーインサイトを把握することが可能になります。つまりオムニチャネル上で関連度の高いコミュニケーション施策への展開を行えます。

アナリティクス領域では、レポーティングダッシュポードから定量、ポジネガの判別が簡単にみれるようになっています。自然言語処理や機械学習を活用した新機能の追加や既存機能の改善は、米国ですでにはじまっており、日本でも期待されているところです。アナリティクスに関するコンサルティングは日本のお客様が必要な領域だと認識しています。アナリティクスレポートとしてどのようなものを構築していくべきか、または定点的にデータとしてどういうふうにみていくか、という議論の土壌をお客様と並走して考えていきたいです。

Q3.日本のお客様への支援体制を教えてください。

若い業界なのでソーシャルメディアに長く従事している人材は少なく、お客様とともに成長しないといけないと感じます。ソフトウェアであれば手離れがいいものはあると思いますが、当社にはサクセスマネージャーという役職があり、サービスの導入からビジネスゴールに向かってきちんとお客様と向き合って協働できる体制を整えています。運営方法にもこだわっており、年間数回のビジネスレビューを実施し、十社十色あるなかでなぜ弊社のサービスを導入いただいたのか、どのようなビションを持つべきかなどの戦略部分を徹底的に突き詰めていけるようにリソースを割いています。

サクセスマネジメントができることが当社の強みでもあります。お客様の業務フロー含め、カスタマージャーニーまでも棚卸ししていきます。当社のサービス、ソリューションは「白いキャンパスのグループウェア」という位置づけです。そのため、稼働するとデータが溜まり、その後2年目はできることが格段に広がります。会社のソーシャルリテラシーが上がってくると、次の壁がでてくるので、どのようにそのデジタル資産を料理していくかがポイントとなるでしょう。CXMはCXプロファイルを読み込み、オーディエンスのヒストリーデータを360°把握することで、一人ひとりの個人をみていくという流れになっていきます。

日本の目線に合わせたローカライゼーションに関して技術的なものは一義的です。日本語独特のセンチメントの入れ込み方、解釈の仕方は腕の見せどころです。Sprinklrの「People-Process-Tchnology」に対する考えは日本独自の経験値を踏襲することですが、日本企業の組織体は独特であるため、その辺りがチャレンジングでもあり、攻略する面白みでもあります。

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とはいうものの、今後は日本の大企業がSNSをどのように活用するかによって大きく変わってくると思います。生活者がもとめるソーシャルメディアへの期待値とのバランスも考慮しないといけません。企業がウェブもしくはモバイルの活用を促進するかは顧客とお互いのコンセンサス次第です。理想になりますが、「質問があったらツイートしてね」というTVCMが出てくると面白いかもしれません。

そうなることで、リアルタイムで行うアクティブサポートに簡単に繋げやすくなります。ポイントはデジタル世代を中心にファーストメディアとなっているSNSをオムニチャネル戦略の中心においた実行力になるでしょう。外資系のブランドが生活者の行動に深く寄り添おうとSNSマーケティングを牽引しているので、日本企業にもうまく活用していって欲しいと思います。次のフェーズとして考えられるのは、マス規模でのエンゲージメントです。グローバル企業やナショナルクライアント企業が、街にある人気のパン屋さんレベルの質の高いコミュニケーションを行う、しかも何十万の人々に対して。この挑戦の先にある果実は想像以上に大きいはずです。日本企業の上層部の方には是非ともそのことに気づいて欲しいですね。

Q4.分析結果をビジネスの意思決定に生かすためのコツを教えてください。

生活者のリアルな評価という点でNPSというプロモーション効果を表す指標は重要です。某飲料メーカーは、NPSデータをSprinklrに連携し、NPSスコアを上げることの意味がどのようにあるのかを丁寧にみています。NPSスコアとキャンペーン参加率が高いこととどのような相関があるかを分析し、キャンペーン自体の正当性を評価しているようです。統計的な有意な数字で意味を見出していくことに意味があります。

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また、NPSスコアの高い利用者のインサイトを全量ツイートデータから分析することにより、既存顧客にはより関連度の高いカスタマイズされたコミュニケーションが可能になります。一方、潜在顧客にはターゲティング時の広告クリエイティブを決める際の判断基準になったり、コールセンターのデータを連携にして攻めのカスタマーケアも可能になります。このように、NPSなどのCRMデータとの連携によりマーケティングとカスタマーケアなど別部門同士の共同利活用を通じ、いままでになかったKPIを導き出すことができます。

Q5. 最後にTwitterに期待することをお聞かせください。

Twitterには多くの期待をしています。ソーシャル × カスタマーケアという文脈においてはTwitterはアクティブサポートのデファクトスタンダードになりつつある。そこにTwitterデータパートナーとして深く入っていきたいですし、カスタマーケアをTwitter利用者、Sprinklr導入企業、Sprinklrの三方良しでやっていきたいと思います。カスタマーケアのみならずマーケティング、商品開発、リスク管理など多角的な領域でご一緒し日本企業のビジネス拡大の支援をしていきたいと考えています。

Twitter: 取材へのご協力、ありがとうございました。

Twitter、聞き手:

後藤 和枝(ごとうかずえ)

Twitter Dataチームに所属。Twitterデータの日本のパートナー事業をリード。

 

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