リツイート機能を公開しました

金曜日, 2010年1月22日金曜日

お待たせしました。Twitter日本語版でリツイート機能を公開しました。このリツイート機能は、多くのユーザーの皆さんがこれまで行っていたリツイートとは違い、リツイートする際にコメントを追加できない仕様にしています。Twitter社がなぜこのような仕様にしたのかについて、共同創業者でCEOのEvan Williamsが自分のブログで解説しています。リツイート機能の日本語版での公開を契機に、その内容について要点をこのエントリで紹介したいと思います。原文となったブログ記事についてはこちらをご覧ください。

リツイート機能を公開しました

背景

興味深い情報をさまざまなユーザーに知らせるリツイートという行為は、ユーザーから自発的に生まれたものでとても良いものだ。Twitter社に先んじて、サードパーティの開発者がTwitterクライアントにリツイート機能を率先して組み込んでくれた。リツイートボタンをtwitter.comに採用しないのかという質問は、以前からあった。サードパーティーのクライアントが備えるのと同様な機能を組み込むこと自体はそれほど難しいことではなかった。しかしそれをしなかったのは、より付加価値の高いもっと根本的なことをしたいと考えていたからだ。

これまで一般的に使われてきたリツイートはすばらしいが、いくつかの問題点がある。

帰属についての混乱 通常のツイートは、アイコン、ユーザー名、ツイートしたテキストという単純な要素から成り立っている。これに対し、自然発生的なリツイートは構成要素こそ通常のツイートと同じものの、それぞれの関係性が異なっている。分かりやすい例で説明すると、リツイートしたユーザーが注釈のテキストを加えない限り、大元のテキストをツイートしたユーザーと、リツイートによって冒頭に表示されるアイコンおよびユーザー名が一致しない。この結果、自然発生的なリツイートの文法に慣れたとしても、テキストとユーザー名の関連をすぐに理解するには労力が必要になる。私はこれはツイートを読みやすいするものにする上で、とても大きな問題だと考えている。私は、私がリツイートした内容を私自身の発言だと勘違いしたユーザーからの@返信を頻繁に受ける。

分かりづらい クライアントごとにリツイートの扱い方が異なることも問題だ。誰かのリツイートをさらにリツイートするとあっという間に混乱する。自然発生したリツイートでは、内容を編集できてしまうためだ。元のツイートの発信者が誰であるかということが理解されていたとしても、その内容がオリジナルであるかの保証がない。これはTwitterに文字制限があることに起因している。もっと悪い事例を挙げると、自然発生のリツイートでは捏造が簡単にできてしまうため、スパムの温床になり得る。例えば、ある著名人がこれまでツイートしたことすらない商品のプロモーションをしているかのように見せかけるツイートを作成できる。

冗長性 もしあなたがフォローしている5人が同時にリツイートしたら、あなたは5つのコピーを受け取ることになる。 これは便利かもしれないが多くの雑音を生む。雑音はTwitter検索でも発生する。人気のあるユーザーなどのツイートが大量にリツイートされると、検索結果が飽和してしまう。

騒音 ある人々が大量にリツイートしていたとする。あなたが、こうした人たちの個人的なツイートを読んでみたいがリツイートの内容には興味がない場合、現在できる唯一の選択は、垂れ流しされるリツイートの中にまぎれている彼ら自身のツイートを発見するために労力をかけるかどうか決めることしかない。

追跡できない リツイートは潜在的には非常に興味深いデータを生む。要は、多くのフォロワーがリツイートするものは、そうでないものよりも価値があるからだ。もし元の発言者をフォローしているユーザーの数に比較して多くの人々がリツイートをしていれば、その情報は面白いニュースをよりすばやく発見したいと思っているユーザーにとってとても有用である。サードパーティー開発者には、こうした特性を認識してサイトを構築する例もある。しかし、データが構造化されていないため、とても難しい。

サイトのポイントは、顕在化はしていないものの、「あなたにとって本当に重要な情報をできるだけ素早く見つけることに役立つ」というTwitterの目標を達成するのに大切である。Twitterのよさの一つは、友だちや組織、公人、面識はないが興味深い人をフォローできることである。しかし、どんなに慎重にフォローするユーザーを選んだとしても、1日に何百万も投稿されるツイートの中から自分にとって重要なものを見つけ出せているだろうか?それとも、興味のあるツイートと興味のないツイートの両方を受け取っている中で、本当に重要なツイートがあってもその存在に気づかないままでいるだろうか?

私は後者が一般的だと思う。理想的なTwitterとは、そのユーザーにとって有用な情報だけを表示するべきである。関係性が高い、タイムリー、地域に関連している、面白い、といった具合にそのユーザーが関心を抱く情報であれば、フォローしていないユーザーのツイートであっても把握できるのが望ましい。そしてもちろん、こうした表示を可能にするために根本的でキメ細かな調整が可能であるべきだ。このため、われわれは有用な情報を顕在化させるためのさまざまな手法を提供したいと考えている。

今回のリツイート機能について

こうした目的のために、われわれは、ユーザーがより多くの有用な情報を発見できるようにしながら、これまで説明したさまざまな課題を解決することを想定して、リツイート機能を設計した。

結果的に非常にシンプルなものになった。各ツイートにリツイートのためのリンクがあり、2回クリックするだけでそのツイートがフォロワーに送られる仕組みだ。元のツイートを誰も編集できないので、リツイートした内容が分かりにくくなることがない。誰がリツイートしたかを示すメタデータはテキスト本体に入れないので、文字制限を気にする必要がなくなる。またTwitterのシステムに組み込んだため、追跡が可能になった。この結果、同じツイートを何人のフォロワーがリツイートしても最初のリツイートだけが表示されるようになるので、冗長性の問題も解決できる。

リツイートが素早く簡単にできるようになり、テキストを編集する必要がなくなる。自分のフォロワーがすでに元のツイートを呼んでいるかどうかを気にする必要もなくなるので、リツイートが気軽にできることもメリットである。

また、雑音の問題を解決するために、フォローしているユーザーごとにそのユーザーのリツイートを自分のタイムラインに表示するかしないかを設定できるようにした。このため特定のユーザーのリツイートだけを読むことができる。

帰属についての混乱を排除するために、元のツイートの発言者のアイコンとユーザー名を表示し、リツイートしたユーザーに関するメタデータはツイートの下に表示するレイアウトにした。

こうした表示形式の短所は、自分がフォローしていないユーザーのアイコンが自分のタイムラインに現れるため、驚く人がいることである。こうした人々には次のように理解して欲しいと説明している: 自然発生のリツイートであっても同じ内容を読んでいるはずで、今回のリツイートはもっと多くの情報を含んでいる。私自身の経験では表示には短期間で慣れるはずで、むしろさまざまな情報を多角的に捉えるための良い手段になる。もし興味のないリツイートばかりをするユーザーがいれば、すでに説明したようにそのユーザーのリツイート表示をオフにすればいい。もし今回のリツイート自体が気に入らなければ、すべてのユーザーについてリツイート表示をオフにすることで対処できる。自然発生のリツイートにはこうした柔軟性はない。

このほかの人々が不満に感じるであろうことに、自然発生のリツイートと異なり、コメントを加えられないことがある。実際には、すべてのリツイートにコメントを加えているユーザーもいれば、まったく加えないユーザーもいる。しかし、特定の使い方においてはコメントの追加が確かに有用であることは事実だ。われわれは、最初のバージョンではシンプルさを優先して、コメントの追加機能を採用しなかった。特にSMSなどの手段で多くの構造体や追加のコンテンツを送ることが一筋縄ではいかないとう事情もあった。しかし、われわれはすでにこれを解決するアイデアがあり、コメントの追加機能を将来提供することが可能だと考えている。

リツイートにどうしてもコメントを追加したい場合はどうすればいいかって? 忘れないで欲しい、もしそうしたければ他のユーザーのツイートを単純に引用することには何の制限もない。また、これまでのスタイルのリツイートを使い続けることも構わない。今回のリリースではそれよりも優先しなければならなかった機能があっただけなのだ。Twitterがこの機能を備えていなかったときと同様に、人々はどんなものであっても自由に開発することができる。これによってまた別のオプションが生まれる。

大局的な観点から言えば、今回の機能は、人々がいま起こっている有用な事象を発見することを手助けすることによって、Twitterをこれまで以上にパワフルなシステムにするものだと信じている。

ユーザーや開発者がリツイートをどのように使い、リツイートの本質をわれわれに教えてくれることを楽しみにしている。それによってリツイートをさらに良いものにできるはずだ。-ev